シルク100% 手引き真綿
手引き真綿について
古くから日本で生産されてきた蚕繭から作られる真綿。長い養蚕の歴史の中で形づくられてきた伝統工芸「手引き真綿」とその真綿を中綿に使った「手引き真綿布団」について解説いたします。
手引き真綿作り
北川商店では近江地方に伝わる伝統工芸、近江真綿の「手引き真綿」技術を受け継ぎ、なにわの地で「なにわ真綿」としてその文化を途絶えさせることなく、現代の生活の中に溶け込む商品を企画開発しています。
近江手引き真綿を伝承
滋賀県の北東部(米原市、彦根市、長浜市等)で江戸時代中期から始まったと言われる真綿作り。自然が豊かで良質な水が湧き出る近江地域。養蚕業が盛んで繊維産業が発展したと言われています。
現在この近江地方で手のべ真綿作りを継承し伝えている数少ない職人さからその技術を受け継ぎ、日々その技術の向上を目指して製品づくりをしています。
弊社の工房にて角真綿を大人二人で引き伸ばして手引き真綿を作り上げます。阿吽の呼吸と力加減で細い糸を丁寧に引き伸ばします。
角真綿を丁寧に手引きした真綿はふわふわの極上の寝心地、真綿布団の中綿となります。天然繊維シルクの手引き真綿は軽さ、保温性、吸湿性を持ち人の眠りに最適な中綿です。
この真綿を使用した「なにわの手引き真綿布団」『UNKAI』を開発いたしました。北川商店オリジナル。特殊4層構造でメンテナンスをしやすくすることにより、より長く手引き真綿の至福の寝心地をご体感いただけます。
真綿とは?
そもそも、真綿とは?どんな中綿の素材なのか詳しく解説いたします。
真綿と絹糸(シルク)の違い
真綿とは蚕が作る繭を使って作られます。絹糸は繭を紡いで作られる生糸ですが、絹糸として紡ぐことができない玉繭、揚り繭、屑繭(出殻繭、汚染繭)から作られるのが真綿です。
玉繭とは2頭の蚕の糸が不規則に絡み合った大きくいびつな繭、揚り繭は繰り糸の段階で糸が繰れずに繰糸を中断した繭です。屑繭(出殻繭・汚染繭)とは蛹が潰れ汚れや害虫に食べられたり、蚕が繭を破って出てきてしまって、絹糸にはならない繭です。
これらの繭から作られるのが真綿です。真綿は繭を煮て引き伸ばした「綿」状のものです。中でも30㎝の四角形に引き伸ばされたものを「角真綿」と呼び、昔から布団、袢纏などの中綿に使われてきました。
真綿と綿の違い
その昔、日本で真綿は「綿」と呼ばれていましたが、木綿(コットン)が栽培されるようになり、木綿と分けるために繭から作られる綿を真綿と呼ぶようになりました。
真綿の特徴
玉繭、揚り繭、屑繭から作られる真綿は繊維の質や太さにバラつきがあったり、繊維同士が絡み合っていることから真綿独特の風合いがありふんわりとした質感があります。
繭を再利用されて作られた真綿
このように生糸として紡ぐことができなかった玉繭、揚り繭、屑繭も真綿として再利用され大切に使われてきました。
「生成りの真綿」と「漂白した真綿」
「生成りの真綿」は玉繭、揚り繭、汚れの少ない出殻繭で作られています。無漂白で繊維がしっかりして、白色ですが、少しクリームがかった生成り色をしています。絹本来の機能性を持つ良質の手引き真綿が作れます。
「漂白した真綿」は屑繭(汚染繭・汚れた出殻繭)から作られ、汚れを落とすためにしっかりと漂白されます。色は真っ白で一見、綺麗でよく見えますが、漂白する事で繊維が細く弱くなり、キレたり、嵩無く、機能性が劣る真綿です。繊維が短く伸びが無いので袋真綿(帽子)にして作られる事が多いようです。
日本の真綿作りの現状
近年、養蚕業が減少や養蚕技術の向上により真綿に使用する玉繭、揚り繭、屑繭(出殻繭、汚染繭)出ないように管理されているため真綿の生産はぼぼ無くなった状況です。
国内では、本繭を使用して生産する為、非常に高価になってしまい、ほとんどが日本の技術が伝承された中国で生産されています。
手引き真綿の原料となる角真綿の作り方
手引きするまえの真綿は「角真綿」という形に加工されます。熟練の技で作られる角真綿。現在ではその技術を継承する職人も少なくなってきています。
角真綿の作り方
1.玉繭、屑繭を1時間以上水に浸す
2.重曹を入れて玉繭、屑繭を煮る
3.油、重曹を洗い流す
4.中から蛹を取り出す
5.繭をムラができないように引き伸ばす
こうして熟練の手により作られる角真綿を使い、北川商店の手引き真綿布団は作られています。